スィッチウィッチという漫画は、普通に生活していた少年少女がある日「あなたたちは能力者だから殺すね!」と大人達にぶっ殺されていくことから始まる漫画です。
ダークファンタジーやドロドロした話、暗い話が好きな人におすすめ。
今回は登場人物の1人、主人公の幼なじみで友達のミホちゃんについて以下の3つの視点で語ります。
(画像左の子だよ)
①ミホちゃんの生い立ち
②ミホちゃんが心から望んでいたことはなんだったのか
③ミホちゃんは幸せになれるのか?
ネタバレありです!
①ミホちゃんの生い立ち
ミホちゃんの両親は、国の都合でミホちゃんが生まれてすぐ死んでしまいました。
だから、国から支給される多額の養育費目当ての養父母に、ミホちゃんは引き取られました。
養父はミホちゃんを性欲のはけ口にしました。
養母はミホちゃんをストレスのはけ口にしました。
つらく厳しい現実から逃避するため、ミホちゃんは本当の両親が自分を助けに来てくれる夢を妄想します。
でも現実は悪化するばかりで、誰も助けてくれません。
そんな中、主人公と出会います。
主人公は自分と同い年の女の子。
主人公には優しい母親、おいしいお茶。
そこでミホちゃんは、自分がみじめな存在であることに気づきます。
ミホちゃんたちは物語開始時、中学生なのですが、この時期って友達と自分を比べやすいですよね。
大人なら逃げたり場所を帰れば済む話ですが、子どもの場合、「学校」という閉鎖空間から逃れられない。
ミホちゃんは自分が受けている虐待の数々を誰にも言えないまま、主人公と自分を比べ劣等感を肥大化させていきます。
ミホちゃんは表面上はいい子なので、腹黒キャラと思われそうですが、本当は誰よりも優しさとあたたかさに飢えている子だと思います。
だからこそ、ミホちゃんが救われなかった事実と、ミホちゃんが主人公に対して抱えてしまった劣等感が悲しくて仕方ない。
話は戻り、ある日、ミホちゃんは自分が能力者だと知ります。
大人たちはミホちゃんを殺そうとします。
でもミホちゃんは、能力を発動させ、殺そうとしてきた大人たちを返り討ちにしました。
ミホちゃんは自分の能力を自覚しました。
それは自身が女王様になれる能力でした。
ミホちゃんが自分の能力を行使し兵隊を増やす様は爽快です。同時に力に溺れてしまった者の末路が見える。
ミホちゃんの死へのカウントダウンはもう始まってしまったのです。
②ミホちゃんが心から望んでいたことはなんだったのか
ミホちゃんは自分をなぶってきた養父母を壊し、自分の言うことを聞く兵隊を増やしていきます。
それでもミホちゃんの心は重いままです。
ミホちゃんは主人公を屈服させることにしました。
そうすれば心は晴れるはずと考えたからです。
ですが主人公も能力持ちで、さらに「特別」だそうです。
反対に力を行使し過ぎたミホちゃんは、自分の体がボロボロになっていくのを感じます。
「私はただやられたことをやり返しただけなのに」と思うミホちゃん。
壊れゆく体と意識の中で、ミホちゃんが本当に望んでいたことはなんだったのでしょうか。
主人公をなぶれば、ミホちゃんの心は晴れたのでしょうか。
ミホちゃんが本当に望んでいたことは、虐待されている現状を助けてくれる大人だったのではないかと思います。
でもミホちゃんは繰り返される虐待の日々の中、本当の両親が助けに来る妄想が叶わないように、自分を助けてくれる人はいない、この願いは叶わないと思ってしまった。
そんな中、ミホちゃんの力が発現し、自分をなぶった大人達に復讐し、主人公さえもなぶろうとしたら、主人公が「特別」という事実を突きつけられ、自分は惨めに壊れ始め、さらに劣等感は膨らんでいく。
ミホちゃんの最期の唯一の救いは、主人公がそれらを受け止めてくれ、引導を渡してくれたことです。精神世界みたいな描写なので、本当は主人公が勝手に妄想してるだけかもしれないけど。
「もしも」の話で、鼻から上が描かれてない大人ミホちゃんの描写はつらすぎます。
叶わない夢だからこそ、幸せそうに見える大人ミホちゃんはつらい。
③ミホちゃんは幸せになれるのか?
本編で1回死んでしまったミホちゃんですが、最終回の世界ではミホちゃんは引越したことになってます。
ミホちゃんへの虐待は無くなったのでしょうか。
少なくとも、主人公への劣等感を抱える必要がなくなったのでよかったのでしょうか?
モヤモヤする終わり方でしたが、ミホちゃんには幸せになってほしい。
スィッチウィッチ、
ミホちゃんの能力、裏ミホちゃんと表ミホちゃんは見ていていっそ清々しいので、ぜひ読んでみてください。
そして主人公の能力も、生理中の経血ドレスというビックリデザインなのでぜひ見てみてください。